[展覧会]映画監督アンジェイ・ワイダ@国立映画アーカイブ

現在、国立映画アーカイブで展覧会「映画監督 アンジェイ・ワイダ」が開催されています。本展覧会は、2019年にポーランド・クラクフ国立美術館で開催されたワイダ展の初の国外巡回となっており、今回は、日本との関係に焦点をあてた独自の章も付け加えられています。

ワイダと日本の関係は「アーカイブ」という観点でも深い繋がりをもっています。1987年に稲盛財団の京都賞を受賞したワイダは、妻のクリスティナ・ザフヴァトヴィチ=ワイダとともに、その賞金を資金の一部にして日本美術技術博物館Manggha(マンガ)をポーランド・クラクフに設立しました。このMangghaという名称は、「マンガ」をミドルネームとして名乗ってしまうほど日本美術ーーとりわけ北斎による『北斎漫画』ーーに情熱を注ぎ、若きワイダが日本文化に興味をもつきっかけともなった美術蒐集家フェリクス・マンガ・ヤシェンスキに由来しています。現在は、ヤシェンスキによる膨大なコレクションを筆頭に、数多くの日本美術工芸品が所蔵されているほか、設立者のワイダに関する資料群の拠点ともなっています。この展覧会は、そうしたMangghaに所蔵されているワイダのコレクションを中心に構成されており、ワイダが描いたスケッチや、『鉄の男』(1981年)の撮影時に使用されたカチンコ、『カティンの森』(2007年)の虐殺シーンで使用された小道具など、ポーランドから来日した貴重な資料が展示されています。

『菖蒲』(2009年) ワイダによるスケッチ 日本美術技術博物館Manggha所蔵(提供:国立映画アーカイブ)

『鉄の男』(1981年) 撮影に使用したカチンコ 日本美術技術博物館Manggha所蔵(提供:国立映画アーカイブ)
 

また、12月26日(日)までは関連上映企画もおこなわれており、日本劇場未公開の『ロトナ』(1959年)や『ザ・コンダクター』(1980年)を含む計14作品が上映されています。

 

【展覧会情報】
映画監督 アンジェイ・ワイダ
会期:2024年12月10日(火)〜2025年3月23日(日)
※月曜日、12月27日(金)〜1月5日(日)は休室
場所:国立映画アーカイブ展示室(7階)
詳細は、国立映画アーカイブホームページをご覧ください

映画図書室では日本映画の資料を中心に収集・保存をおこなっていますが、外国映画に関する資料も多数所蔵しています。ワイダに関しては、書籍や雑誌などの資料をご覧いただけますので、ぜひご活用ください。


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(原田麻衣)