[追悼]中島貞夫監督(2)

6月27日のニューズレターでは、同月11日に亡くなられた中島貞夫監督の追悼記事として、主に東映映画史と照らし合わせる形で監督の軌跡を簡単に振り返りました。

訃報から早くも4ヶ月が経とうとしていますが、監督が映画界に残された功績は大きく、各所で追悼特集が組まれるに至っています。今回のニューズレターでは、追悼記事第2弾としていくつかの関連企画をピックアップし、ご紹介したいと思います。

 

◾️[書籍]『ユリイカ』2023年10月号(特集=追悼・中島貞夫ーー『893愚連隊』『日本暗殺秘録』『狂った野獣』、そして『多十郎殉愛記』)青土社

『ユリイカ』2023年10月号では中島監督の大々的な特集が組まれ、多数の論考やエッセイに加え、倉本聰氏や北大路欣也氏のインタヴューなども掲載されています。巻末には資料として「中島貞夫主要作品解題」の他、1999年から2014年までの間にKBS京都にて放映されたTV番組「中島貞夫の邦画指定席」の放送リストも付されており、中島監督の多岐にわたる仕事を通観できる重要な一冊となっています。

 

◾️[上映]京都国際映画祭・中島貞夫監督追悼上映
10月13日(金)から15日(日)まで開催される京都国際映画祭では、中島監督追悼特集として『893愚連隊』(1966)、『日本暗殺秘録』(1969)、『狂った野獣』(1976)、『序の舞』(1984)、『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』(2015)の5作品が上映されます。本特集の会場はよしもと祇園花月、料金は1,000円となっています。スケジュールなど詳細は映画祭HPをご参照ください。

 

◾️[書籍]中島貞夫、大森俊次『中島貞夫監督 映画人生60年を語る』(かもがわ出版、2023年)

図らずも「追悼」の言葉が加わることになった本書では、スケッチエッセイストの大森俊次氏が聞き手となり、中島監督が映画人生を縦横無尽に語る様子が多数のスケッチとともにまとめられています。『京都新聞』および『京都民放』での連載をもとにした第一章と第二章ではそれぞれ作品と俳優の話に焦点が当てられ、連載終了後に続けられた対話から組まれたという第三章では映画作りのプロセスがあますことなく記されています。

 

◾️[放映]東映チャンネル・3ヶ月連続企画「中島貞夫監督メモリアル特集」

CS衛星放送およびケーブルテレビで展開している東映チャンネルでも8月より3ヶ月間に及ぶ中島監督特集が始まりました。第2弾となる10月は、『兄弟仁義 関東兄弟分』(1967)、『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』(1973)、『極道VSまむし』(1974)、『狂った野獣』(1976)、『新 極道の妻たち』(1991)の5作品が放映されます。

 

映画図書室では中島監督/脚本作品の台本や、スチル写真、プレスシートなど数多くの資料を所蔵しています。ぜひこの機会に、製作過程が垣間見えるこれらのアーカイブ資料もご活用ください。

中島監督は『くノ一忍法』(1964)以降、監督として輝かしいキャリアを積み上げていくことになりますが、同時に、脚本家としての仕事も続けてこられました。大学時代に所属していた東大ギリシャ悲劇研究会の関係で戯曲を書き、東映入社後は映画を撮るためにひたすらシナリオを書き続けていたという監督にとって、「シナリオは総合芸術の基本になるもの」という考えが一貫してあったように思われます。映画図書室では、こうした「脚本家 中島貞夫」としての資料も多数ご覧いただけます。

『江戸犯罪帳』(山下耕作、1964)、『間諜』(沢島忠、1964)

『大阪ど根性物語 どえらい奴』(沢島忠、1965)※台本では『冠婚葬祭』、『燃える勇者』(土橋亨、1981)

『吉原炎上』(五社英雄、1987)、『将軍家光の乱心 激突』(降旗康男、1989)

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(原田麻衣)