【資料提供】論文「日本映画界における「甲斐荘楠音」の功績」

【資料提供】論文「日本映画界における「甲斐荘楠音」の功績」

山口記弘(映画村前社長、東映株式会社経営戦略部フェロー)による論文「日本映画界における「甲斐荘楠音」の功績」が立命館大学の紀要論文集『立命館映像学』(no. 15)に掲載されました。

映画図書室の所蔵資料を含む東映京都撮影所の資料や松竹大谷図書館の資料をなどを丹念に調査し、日本画家として知られる甲斐荘楠音の、日本映画への知られざる貢献を明らかにした画期的な論考です。

甲斐荘楠音が一時期の溝口健二作品に考証として参加していたことは知られていますが、彼の映画への関わりはそれだけにはとどまりません。

1939年から1965年にかけて、松竹、東映、大映の少なくとも229本の映画に携わっていたことがクレジットの調査から判明しました。

東映作品は91本あり、そのなかで市川右太衛門が出演している作品は60本にのぼります。論文では甲斐荘と市川右太衛門の関係や、そこから他の東映の監督と知り合っていった過程が考察されています。とりわけ市川右太衛門主演の「旗本退屈男」シリーズにおける衣裳デザインの仕事は特筆に値します(パリや東京で衣裳展が開催されました)。

甲斐荘が関わった映画は、いわゆる巨匠の作品やオールスター映画からプログラム・ピクチャーまで、実に多岐にわたっています。監督別では東映の松田定次監督の38本がもっとも多く、松竹の大曾根辰夫監督の27本、東映の佐々木康監督の24本と続きます。ほかにも伊藤大輔や加藤泰、木下惠介、野村芳太郎、田坂具隆、衣笠貞之助、マキノ雅弘といった日本映画史に名を残す巨匠監督の作品にも参加しています。

太秦時代劇を陰で支えていた甲斐荘の仕事については、今後、映画研究の分野だけでなく、絵画やデザインの専門家による美学的な研究が期待されるところです。

この論文が掲載されている論文集は映画図書室で閲覧していただくことができます。また、論文の中で取り上げられている関連資料の一部も閲覧可能です。どのような資料が見られるのか等、不明な点があればお気軽にお問合せください。

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