め組発掘台本の紹介(2)
以前のニューズレターで「め組発掘台本」について紹介しました。
「め組発掘台本」とは、2018年に映画村のオープンセット内にある「め組」の屋根裏から発見された大量の台本のことです。50箱におよぶダンボール箱の中には、データベースに統合されていない約4,000冊の台本が収められていました。
その内訳は下記のとおりです。
東映……2,628冊
大映……730冊
東宝……50冊
日活……229冊
松竹……121冊
成人……370冊
合計……4,128冊
わたしたちは発掘された台本の中身を一冊ずつ確認して、書き込みの有無やバージョンの違いなどを記録していきました。
書き込みのあるものや、修正箇所を記した紙が挟み込んであるもの、それを切り貼りした箇所のあるものなどは、映画の生成過程をうかがうことのできる貴重な資料です。
また、台本には「準備稿」「改訂稿」「決定稿」など、同じ作品に関して異なるバージョンの台本が存在するケースもあります。
め組発掘台本のなかにも複数のヴァージョンが見られましたし、既存の台本資料とは異なるバージョンが見つかった作品もあります。
バージョンの異なる台本を比較することで、セリフや演出の変更過程を追跡する研究が可能となります。
いずれも貴重な資料であることは間違いありませんが、ただ残っているだけでは意味がありません。
作品のファンの方に実際にご覧いただいたり、研究者による調査とその成果の発表などがあったりしてこそ、その真価は発揮されます。
所蔵資料については、今後もニューズレターを通して紹介させていただきます。
興味を惹かれる資料がありましたら、ぜひ閲覧申請をして図書室までお越しいただき、直接ご覧ください。
(伊藤弘了)