[コラム]”In memorry of Seizo Fukumoto”〜 福本清三さんを偲んで 〜

“In memorry of Seizo Fukumoto”〜 福本清三さんを偲んで 〜

2024年に公開された映画『侍タイムスリッパー』(監督:安田淳一)終幕の献辞で、その名前を認識された方もいらっしゃることでしょう。

故・福本清三さんは”日本一の斬られ役” “五万回斬られた男”と称された、俗に大部屋俳優と呼ばれる東映京都撮影所の専属演技者の一人です。

15歳で撮影所へ入所してから亡くなられる77歳まで、斬られ役としての生涯を全うされた方でした。

・Webマガジン「ANTENNA」福本清三インタビュー(2017)

その福本さんの生涯に貴重な写真や映像と関係者へのインタビューでアプローチするドキュメンタリー映画『福本清三 どこかで誰かが見ていてくれる』(監督:大野裕之/撮影:安田淳一)が先月からの京都シネマでの先行上映期間(2026.2.27~3.12)を終えて、今夏6月より東京・大阪を皮切りに全国各地での公開が予定されているとのこと。

今回はそれまでに是非おさえておいていただきたい福本さん関連書籍やシナリオを、映画図書室所蔵品の中から一部紹介したいと思います。

最初に紹介するのは共に小田豊二氏が聞き書きした福本清三入門編と言うべき二冊です。

・『どこかで誰かが見ていてくれる 日本一の斬られ役・福本清三』(創美社、2001年/集英社文庫、2003年)

・『おちおち死んでられまへんーー斬られ役 ハリウッドに行くーー』(創美社、2004年/集英社文庫、2007年)

最初の出版を記念した慣れないサイン会やイベント参加で「福ちゃん最近サインが上手くなったなぁ!」と剣会(つるぎかい)の仲間たちにからかわれていた福本さんの照れ笑いが懐かしく思い出されます。

続いて以下は、大野裕之氏によるインタビューを基に構成された写真集で6月公開のドキュメンタリー映画のベースになったと言ってよい一冊です。

・『福本清三 無心ーーある斬られ役の生涯ーー』(2024年)

ひと際目を引く表紙の福本さんの肖像は、写真家・荒木経惟氏が雑誌『ダ・ヴィンチ』連載「男ーーアラーキーの裸ノ顔ーー」(2015年)の為に撮り下ろした一枚。2021年逝去の際、家族葬としてとり行われた葬儀ではご遺族の希望で“遺影”として祭壇に飾られた写真でもあります。

公開当時、朝日新聞連載のエッセイ『銀の街から』で沢木耕太郎氏から「最後の時代劇」と評された映画『太秦ライムライト』(監督:落合賢)。

左:台本『太秦ライムライト』(2014)  右:チラシ『太秦ライムライト』(2026)

福本さんが演技に対する真摯な姿勢をお手本とし、生涯尊敬してやまなかったチャールズ・チャップリン。その名作『ライムライト』をモチーフに、“ロンドン=京都”・“喜劇=時代劇”・“喜劇役者=斬られ役”へと置き換えたオマージュ作品です。この機会に台本を手にして、完成された映画とは異なる台詞やト書きで映画シナリオの魅力を探ってみてはいかがでしょう。

映画図書室では福本清三さんをはじめ、斬られ役俳優が所属した【東映剣会】の関連資料を収集・整理中です。改めて、皆さまにご紹介できる機会を設られるよう努めて参ります。

映画図書室所蔵の資料は、どなたでも申請をしていただければ閲覧が可能です。紹介した台本・書籍にはデータベース、所蔵検索に反映されていないものも含まれますが、全て閲覧していただけます。ご希望される方は申請ページの「備考欄」にご記入ください。

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(西嶋勇倫)