東映太秦映画村・映画図書室では、40万点以上の資料を収集・保存しています。映画図書室には、実写映画はもちろんのこと、アニメーション映画作品に関連する資料も数多く保存されています。今回の記事では、近年流行しているアニメのリメイク、とりわけ高橋留美子原作アニメに注目しながら、劇場版アニメ作品の所蔵資料についてご紹介します。
近年、数十年前に公開されたアニメ作品を再びアニメ化する、いわゆる「リメイクアニメ」が数多く公開されています。その中でも、高橋留美子のマンガ原作アニメがこの数年で相次いでリメイク、新作発表が行われてきました。1981年から1986年にかけて公開されていた『うる星やつら』のリメイク作品が2022年から2024年に、1989年から1992年にかけて公開されていた『らんま1/2』のリメイクが2024年に公開されました。また、リメイク作品ではないですが、『犬夜叉』(2000-2004)や『犬夜叉 完結編』(2009-2010)からなる『犬夜叉』シリーズの完全新作の続編となる『半妖の夜叉姫』も2020年に公開され、大きな反響を呼びました。2024年には高橋留美子がこれまでに制作した作品の原画集も発売されるなど、現在最も注目を集めている作家の1人であると言えるでしょう。
こうした中で、2024年には『うる星やつら』にまつわる展覧会、「TVアニメ うる星やつら展」が東京と京都で開催されました。今年には、高橋留美子の出身地である新潟を会場として開催されることが決定しており、期待が高まっています。新潟会場の開催期間は2025年4月5日(土)から5月6日(火祝)の予定です。展覧会に関わる詳細は以下の公式サイトからご確認いただけます。

マンガを映画やアニメに翻案すると、観客の鑑賞体験は大きく変化します。マンガ、映画、アニメにはそれぞれ固有の特性があり、鑑賞方法やストーリーの理解の仕方などが大きく変化します。そして、たとえ翻案前が同じ作品であっても、翻案の方法によって、作品は大きく変化します。リメイクであれば、制作スタッフによる演出方針の変化、リメイク版が公開される時期のトレンド、そして制作に用いることのできる機材の変化など、様々な要因がお互いに影響を与え合いながら作品が作り上げられます。
作品が生み出される事情をふまえると、リメイクアニメの鑑賞に様々な楽しみ方を想定することができます。リメイク前の作品とリメイク後の作品を比較して楽しむことで、同じアニメという媒体の中で変化している要素を考えることができるでしょう。また、リメイク前後でマンガの1コマをどのように映像化しているのか見比べるという楽しみ方もあります。そして、動いている映像だけでなく、キャラクターデザイン単位で変化している要素を探したり、声優の方の台詞回しに注目しながら演技を聴き比べてみたりすることで、作品を色々な角度から楽しむことができます。
実際の作品鑑賞に加えて、劇場版公開に関わる宣伝資料から、観客に向けたプロモーションの変化を読み取ることもできます。当時どのように宣伝されていたのか知ることで、現在公開されているアニメを異なる視点で楽しむことができるかもしれません。東映太秦映画村・映画図書室では、高橋留美子原作アニメの劇場版を含む様々な資料を所蔵しています。例えば、『うる星やつら オンリー・ユー』(1983)や『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)、東映アニメスペシャルのなかで上映された『らんま1/2 超無差別決戦! 乱馬チームVS伝説の鳳凰』(1994)、そして『犬夜叉 時代を越える想い』(2001)といった、劇場版アニメのポスターやスチールを所蔵しています。

また、アニメ化だけではなく、東映が製作に関わって実写映画化という翻案を行った『Apartment Fantasy めぞん一刻』(1986)の台本も所蔵しています。このように、プロモーションや制作に用いられてきたものなど、様々な資料を所蔵しています。

この他にも、近年公開されたリメイクアニメのもとになった作品の劇場版に関わる資料を数多く所蔵しています。既に公開・放送された劇場版アニメにつきましては、実際に図書室で閲覧可能ですので、まずは所蔵の有無を図書室までお気軽にお問い合わせください。
資料の閲覧をご希望の方は、下記のフォームより事前に申請をお願いします。
(源倫太朗)