2025年は、昭和が始まってからちょうど100年にあたる節目の年です。1925年に生まれた映画関係者と言えば、俳優の京マチ子やポール・ニューマン、作曲家の芥川也寸志らがいますが、戦後日本を代表する作家の三島由紀夫も、生きていたら今年で100歳です。
彼が執筆した有名な作品は、長編小説なら『仮面の告白』(1949年)や、『潮騒』(1954年)、『金閣寺』(1956年)や『豊饒の海』(1965-71年)などがありますし、戯曲も『鹿鳴館』(1957年)や『サド公爵夫人』(1965年)、『わが友ヒットラー』(1968年)などは現代でも広く知られています。1970年、三島は市ヶ谷の陸上自衛隊バルコニーで演説をしたのちに自決しますが、45年間の生涯で彼が残した文章は膨大な量で、それらが後世の人々に与えた影響は計り知れません。
三島が生まれたのは1月でしたので、生誕100周年を記念すべく、今年に入って既に各地でイベントが開催されています。とくに山梨県の三島由紀夫文学館では、生誕100周年記念展「MISHIMA BEST SELECTION〜珠玉の100選〜」が2025年12月28日まで開催中です。また、三島は2020年に没後50年を迎えており、この時にはドキュメンタリー映画『三島由紀夫VS東大全共闘〜50年目の真実〜』(豊島圭介監督)が公開されました。
これほど人びとの記憶に残り続ける三島ですから、彼の作品はたくさん映画化されています。なかでも『潮騒』は5度も製作され、吉永小百合/浜田光夫や、山口百恵/三浦友和といった各時代のスターが主演を務めました。他にも、『炎上』(1958年、市川崑監督)や、『剣』(1964年、三隅研次監督)では、戦後における大映の看板スターだった市川雷蔵が出演しており、こうした顔ぶれから、三島の映画化作品に対する製作者/観客双方の期待の高さが伝わってきます。そして、三島本人も俳優として映画に出演し、ときには主演を務めることもありました。


当映画図書室でも三島由紀夫関連資料を多数所蔵しています。なかには「製作中止」と手書きで朱入れされた脚本もあり、センセーショナルな三島作品の映画化が一筋縄ではいかなかった様子が伺えます。他にも、2000年代以降に映画化された作品の脚本や、書籍、映画雑誌なども所蔵しています。お探しの文献がある場合は、申請フォームやメールでのお問い合わせをお願いいたします。


三島由紀夫生誕100周年を記念することで、多くの方が彼の作品や映画化作品に触れ、その魅力を(再)発見するきっかけになることでしょう。資料の閲覧を希望される方は、下記のフォームより事前申請をお願いいたします。お待ちしています!
(國永 孟)